静岡県の茶業
静岡県の茶業 品質・量ともに日本一
静岡県は、地勢・気候などの環境がお茶の栽培に適しており、古くから茶の名産地として知られていますが、特に安政6年(1859)横浜開港により、お茶が我が国の主要な輸出品のひとつになったため、県下各地に茶園が開かれました。 これとあわせて生産の機械化、品種の改良など技術の改善がなされ、今日の発展をみました。 いま、茶づくりにあたっては常に良品・安全生産をモットーに、国や県の試験研究機関をはじめ、茶業関係者のたゆまぬ努力によって、わが国茶生産量の5割を、流通面では7割近くを占め、質・量ともに日本一の茶どころとなっています。
未明の茶園から富士を望む(静岡市清水吉原)
県西部、太田川上流域と天竜川上流地域を中心に、いずれも上級茶産地として歴史があります。
小笠山周辺と牧之原に接する地帯の茶園を主体に、磐田原台地を含む地域で、丘陵地の茶園が多く「特むし茶、深蒸し茶」など特徴ある産地として知られています。
静岡県中部の大井川の西岸台地に広がる大茶園は、明治初年に徳川の幕臣や川越人足らの手により開拓の端緒が開かれました。当時、不毛の地として誰もかえりみなかった牧ノ原は、現在広大な茶園がつづき、わが国最大の茶産地となっています。ここには、国立、県立の茶業試験場もあり、新緑のころは、まさに緑萌える大地となります。
南アルプスをみなもととする大井川の上流域に沿った山間斜面の茶園は、やわらかな朝霧につつまれるなど、めぐまれた立地条件と農家の努力で、古くから銘茶の産地として全国にその名を知られています。
藤枝・島田・岡部の山間地茶園が大部分で朝比奈川上流は玉露産地として、また、それぞれ河川の流域が主産地で、山間地・平坦地それぞれ特色のある産地が形成されています。
静岡市を流れる安倍川流域を中心とする産地で、上流地帯は本山と呼ばれる良質茶産地です。歴史も古く、面積も多い特色ある産地を形成しています。
旧清水市を中心とした産地は、「駿河の清見」の茶として古くから知られ、日本平や興津川流域に多く生産されています。
富士山西南裾野地帯・愛鷹山の南麓に栽培が多く、整備された近代的茶園がひらかれています。